千葉地方裁判所八日市場支部 昭和52年(ワ)130号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【説明】
被告は、昭和五一年一〇月下旬頃、千葉県警成東警察署に、原告を「原告は、昭和五一年一〇月二一日午前一〇時頃、原告方居宅において、被告に対し、被告の父幌吉経営のスーパーマーケット倒産に関し口論となるや、激怒し、『片端からぶつ殺してしまう』と押入れから長さ二尺一寸二分五厘の日本刀一振を取り出し、被告の面前で抜刀し、『腕でも足でもぶつた切つちやんだ』と生命身体に危害を加えかねない勢いで、凶器を示して脅迫した」とする被疑事実によつて告訴したため、原告は、昭和五一年一一月一〇日以降逮捕勾留され、そのことは、朝日新聞、読売新聞の各地方版(千葉版)に、「暴力金融で逮捕」などの見出しで、前記被疑事実を前提として二段記載の新聞記事が掲載され、千葉県内の不特定多数人に配布された。しかしながら前記被告の告訴にかかる原告の被疑事実は事実無根であつた。判決は、以上の認定事実を前提として次のとおり判示する。
【判旨】
原告本人尋問の結果によると、原告は本件事件当時六四歳で肩書住所において肥・飼料販売・金融業を営み、長女美恵子(当三〇歳)は千葉市居住のインテリヤ業者五木田敏夫に嫁しており、長男忠雄(当二八歳)は会社に勤務しており、弐男日出夫(当二六歳)は千葉市役所に勤務しており、弐女孝子(当二三歳)は未婚で家事手伝をしており、原告は前記事実無根の被疑事実の報道により名誉を毀損され多大の精神的苦痛を蒙つたことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠がないところ、右認定事実に徴すれば、右原告の精神的苦痛を慰藉するには被告をして原告に対し金一〇〇万円を支払わせるのが相当であり、また原告が被告によつて毀損された名誉を回復するためには被告をして原告に対し別紙目録記載の謝罪広告を掲載させるのが相当である。
(松澤二郎)